犬用シャンプーおすすめ|現役トリマーが「皮膚」と「仕上がり」で選び分ける理由

皮膚

前回の記事で、私が犬用シャンプーを選ぶときの2つの基準を書きました。

「全成分が公開されているか」「人間の赤ちゃんにも使えるくらいの低刺激か」

選び方の基準は、こちらで詳しく解説しています

この記事では、その基準で選んだ中から、私が実際に使ったことがあるものだけを紹介します。

先に正直に書いておきますが、私はサロンでは業務用のシャンプーを使っています。市販品を何十本も試したわけではありません。だからここに書けるのは、数本だけです。

それでも書く価値があると思ったのは、実際に使ってみて分かったことがあるからです。

選ぶ前に、知っておいてほしいこと

いろいろ試して、はっきり感じていることがあります。

皮膚にやさしいシャンプーは、仕上がりの持ちが良くありません。

洗った直後はサラサラでも、そのふわふわ感が何日も続くわけではない。低刺激な処方であればあるほど、その傾向があります。

逆に、仕上がりが本当に良い製品は、被毛に働きかける成分が何種類も入っています。皮膚が弱い子には勧めにくい処方です。

「低刺激で、仕上がりも最高」

そう書いてある記事をよく見かけますが、私が現場で見ている限り、その両立はかなり難しいと思っています。

フルコートに仕上げているヨーキーちゃんだとシャンプーして一週間でベトベトに。
まんまる雪見大福みたいに仕上げたビションちゃんだと蒸れで匂いが籠ったり…。

だから、選ぶ前にここを決めてください。

あなたが今、シャンプーに求めているのはどちらですか?

  • 皮膚が荒れやすいから、とにかく刺激を減らしたい
    → 次の「皮膚を守ることを最優先にしたい人へ」を読んでください
  • カットスタイルを維持したい。次のサロンまでふわふわでいてほしい
    → 「仕上がりを優先したい人へ」まで飛ばして大丈夫です

どちらが正しいということはありません。その子の状態と、飼い主さんが困っていることで変わります。

ただ、迷ったら皮膚を優先してください。

フケが出やすい、赤みが出る、シャンプーのあとに痒がる。
どれかが当てはまるなら、迷う必要はありません。

皮膚を守ることを最優先にしたい人へ

BASICS DermCare 低刺激シャンプー(QIX)

価格2,960円 / 200g(15円/g)
タイプ泡で出るポンプ式
販売Amazon.co.jp直販

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これは、私がサロンで使っている業務用シリーズの、一般向け小容量版です。

成分表を見ると、水の次に来るのがラウロイルアスパラギン酸Na、その次がココイルグルタミン酸TEA。どちらもアミノ酸系の洗浄成分です。前回の記事で「水の次に来る成分がそのシャンプーの主役」と書きましたが、まさにその位置にアミノ酸系が並んでいます。

植物エキスは4種類(ユズ、ラベンダー、ローズマリー、ルイボス)。少ないほうです。何かあったとき、原因を追いやすい構成になっています。

泡で出てくるので、わざわざ泡を作る手間もなく被毛をこすらずに洗えるのも良いところです。

デメリット

まず、ぶっちゃけると…高いです。15円/gという単価は、市販の犬用シャンプーの中でもかなり上のほうなのではないでしょうか?

もうひとつ。防腐剤としてメチルクロロイソチアゾリン/メチルイソチアゾリンが
入っています。パラベンは使っていませんが、その代わりにこれが入っている形です。

この成分は、日本でも海外でも「洗い流す製品には使ってよい」とされています。
シャンプーは洗い流すものなので、規格内であれば問題ありません。

私自身は過度に心配する必要はないと考えています。
ただ、成分表を見て判断してほしいと書いている以上、
これが入っていることは書いておきます。

なお、成分表の一番下にあるので配合量はごく微量です。
これも前回書いた「リストのどこにあるかで意味が変わる」の一例ですね。

向いている子/向いていない子

皮膚がデリケートで、洗浄力より刺激の少なさを優先したい子に向いています。逆に、皮脂が多くてベタつきが強い子には、洗浄力が物足りないかもしれません。

それと、シャンプー後の乾かし方も皮膚を左右します。せっかく低刺激のシャンプーを使っても、乾燥が不十分だと台無しになるので、こちらもあわせて読んでみてください。

「自然乾燥」が愛犬の皮膚を壊す?皮膚病が治らない隠れた原因と、現役トリマーが教える正しいドライヤー選び

THE MATE TOKYO 犬用シャンプー

価格2,310円 / 460mL(5円/mL)
タイプ泡で出るポンプ式
販売Amazon(メーカー出品)

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成分の構成は、BASICSとよく似ています。水の次がラウロイルアスパラギン酸Na、3番目がラウラミドプロピルベタイン。アミノ酸系とベタイン系の組み合わせです。

そして植物エキスが2種類だけ(酒粕エキス、オレンジ油)。私が見た中では、いちばんシンプルな処方でした。

使ってみて良かったのは、まず泡で出てくること。泡立てる手間がないので、洗うのが楽です。

もうひとつ、香りが助かりました。私は香りの強いシャンプーだと頭が痛くなることがあるのですが、これは天然精油由来のオレンジで、きつくありません。

デメリット

大型犬には向いていません。泡タイプは1回に使う量が多くなるので、体の大きな子だと減りが早く、結果的にコスパが悪くなります。

単価は安いのですが、「1本で何回洗えるか」で見ると、印象が変わるかもしれません。

向いている子/向いていない子

小型犬〜中型犬で、成分をできるだけシンプルにしたい子に向いています。大型犬や多頭飼いの場合は、量の問題で現実的でないことがあります。

仕上がりを優先したい人へ(ただし、条件の外です)

LOHAS’LINO ロハスリノ(シセルリノ)

価格7,150円 / 700mL(10.2円/mL)
タイプ液体・ポンプ式
販売Amazon(第三者出品・在庫が少ないことがあります)

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先に、正直に書きます。

これは、私が前回の記事で「避けている」と書いたタイプの製品です。

植物エキスが20種類近く入っています。アマチャヅル、チャ葉、ローズマリー、ゴボウ根、ヨモギ、ヘチマ、アルニカ、オタネニンジン、コーヒー種子、カミツレ……まだあります。

それでも書いたのは、仕上がりが本当に別物だからです。

主役になっているのはヘマチン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン。被毛のハリとコシに働きかける成分です。

カット犬種の子や、ヨーキーのようにロングコートを維持している子。被毛の質がそのままスタイルの完成度になる子たちには、シセルリノが一番だと思っています。

サロンではロハスリノではなく、別シリーズを使っていますが、それだとご家庭用がないのと、
シャンプーとリンスだけでは終わらない、工程の長いものなので、
もしご家庭でもサロンの仕上がりを、という方にはロハスリノをお勧めします。

番外:条件の外だけど、使ってよかったもの

HYPONIC(ハイポニック)

価格4,510円〜 / 300mL(15円/mL)
タイプ液体(リンス不要)
販売Amazon

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これも、私の基準からは外れます。漢方由来・植物由来のエキスが複数入っているからです。

ただ、使ってみて素直に良いと思ったので、書いておきます。

表を見ると分かる通り、単価はこの記事で一番高いです。300mLで4,510円から。

でも、少量で驚くほど泡立ちます。ボトルの減りが遅いので、1mLあたりの価格だけ見て判断すると損をするタイプです。実際に何回洗えるかで考えると、印象が変わると思います。

そしてリンスがいりません。洗った後にもう一工程あるかないかは、犬にとってもかなり違います。
台の上にいる時間、シャワーをかけられる時間が短くなるので。

硫酸系の界面活性剤、パラベン、着色料は使っていません。そこは私の基準と合っています。

引っかかるのはエキスの数だけです。皮膚に問題がない子で、洗う手間を減らしたいなら、選択肢に入ると思います。
とにかく泡立ちに仕上がり、リンスいらずの手間いらずは素晴らしい商品だと思います。

紹介しなかった商品について

候補に挙がったけれど、この記事に入れなかったものがあります。理由を書いておきます。

ANIDERM モイストシャンプー

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実は、これは私も使ったことがあって、嫌いではありません。セラミドなどの保湿成分がしっかり入っています。

入れなかった理由は2つ。植物エキスが8種類あることと、抗菌成分が配合されていることです。前回の記事で「症状がないのに薬用シャンプーを使うべきではない」と書いた立場から、健康な子の普段使いの1本目としては勧めにくいと思いました。

それともうひとつ。これはANIDERMに限った話ではなく、保湿系のシャンプー全般に言えることなのですが、うるうるサラサラが長続きするわけではありません。皮膚にやさしい分、仕上がりの持ちは控えめです。

冒頭に書いたトレードオフの話は、ここから来ています。

でもANIDERMの商品はクレンジングオイルや保湿入浴剤などもあって、皮膚のかゆみがある子や乾燥でフケが多い子にはぴったりの商品です。

有名ブランドのハーブ系シャンプー

人気のある製品ですが、全成分の表示が「〜など」で終わっているものが多く、私の基準1(全成分が公開されているか)を満たしません。

それに、複数のハーブオイルが入っています。以前、ご自宅でティーツリーのシャンプーを使っていた子が、ある日突然アレルギーを起こすようになったことがありました。エキスが多すぎて、結局どれが原因か分からずじまいでした。

➡ 詳しくはこちら:犬の皮膚は人とほぼ同じ臓器(皮膚トラブルが多い理由)

洗う側の人間のことも、少しだけ

これは完全に私個人の話ですが。

香りの強いシャンプーで何頭も洗っていると、頭が痛くなることがあります。

狭い浴室で、湯気と一緒に香料を吸い続けるわけですから、まあそうなるよなという話です。仕事なので慣れましたが、選べるなら香りは控えめなものを選びます。

飼い主さんにも、まったく無関係ではないと思います。

多頭飼いで毎週洗っている方。大型犬を1時間かけて洗っている方。シャンプーを嫌がる子と格闘している方。

犬のためだけでなく、洗う人が続けられるかどうかも、けっこう大事な基準です。

まとめ:並べて比べると

 BASICSTHE MATE TOKYOロハスリノHYPONIC
優先するもの皮膚皮膚仕上がり使いやすさ
単価15円/g5円/mL10.2円/mL15円/mL
タイプ液体液体
植物エキス4種2種約20種複数
リンス必要に応じて必要に応じて専用品あり不要
向いている子皮膚が敏感な子小〜中型で成分をシンプルにカット犬種・ロングコート洗う手間を減らしたい

※価格は2026年8月時点のものです。変動することがあります。

選び方をひとことで言うなら、こうなります。

皮膚に不安があるなら、迷わず皮膚を優先してください。

仕上がりは、また次のトリミングで整えられます。でも皮膚のトラブルは、一度こじれると戻すのに何ヶ月もかかります。

小型犬〜中型犬で、まず試してみたいならTHE MATE TOKYOから。皮膚がかなりデリケートな子ならBASICS DermCareを選びます。

最後にひとつだけ。

シャンプーを変えたら、1本使い切るまで判断しないでください。1〜2回で「合わなかった」と決めてしまう方が多いのですが、皮膚が変わるにはもっと時間がかかります。

シャンプーやサプリが「本当に効き始める」までの期間

それと、洗う頻度も大事です。良いシャンプーを使っても、頻度が合っていなければ意味がありません。

犬のシャンプー頻度は月1回が正解?


ここに書いたものが、すべての子にとっての正解ではありません。

同じシャンプーでも、合う子と合わない子がいます。季節で変わることもあります。

大事なのは、成分表を見て、その子の皮膚を見て、自分で判断できるようになることです。この記事が、その練習台になれば嬉しいです。

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