「ラウロイルアスパラギン酸Na」
シャンプーの裏を見たとき、こんな文字列が並んでいたら、普通は読み飛ばします。私も最初はそうでした。
でも、この文字列の意味が分かるようになると、パッケージの表側に書いてある「無添加」「オーガニック」「低刺激」といった言葉に頼らなくて済むようになります。
あの手の言葉には、実は明確な基準がありません。でも成分表の並びは、作った人が決めた配合そのものです。
今回は、その読み方の話をします。
シャンプーの性格は、洗浄成分(界面活性剤)の種類でほぼ決まります。そこさえ見分けられれば、選ぶのはかなり楽になります。
※ そもそもの選び方の基準(全成分公開・低刺激)については前回の記事で書いています。今回はその続き、「成分名の読み方」です。
まず、見る場所は決まっています
成分表は、原則として配合量の多い順に書かれています。
そして犬用シャンプーの1番目は、ほぼ必ず「水」です。
つまり、水の次に来る成分から3〜4番目まで。ここが洗浄成分です。そのシャンプーの主役です。
それより下は、保湿成分だったり、香りだったり、防腐剤だったりします。大事ではありますが、洗い心地を決めているのは上位の数行です。
だから、成分表を全部読む、理解する必要はありません。上から4行だけ見てください。
洗浄成分5種類の早見表
| 種類 | 洗浄力 | 刺激の少なさ | 泡立ち | 泡切れ |
|---|---|---|---|---|
| アミノ酸系 | 控えめ | ◎ | やや弱い | 普通 |
| ベタイン系 | 控えめ | ◎ | 良い | 良い |
| タウリン系 | ほどほど | ○ | やや弱い | 良い |
| スルホコハク酸系 | 強め | △ | 良い | 普通 |
| 硫酸系 | とても強い | × | とても良い | 普通 |
ざっくり言うと、上に行くほど優しく、下に行くほどよく落ちます。
そして「優しくて、よく落ちる」は基本的に存在しません。洗浄力と低刺激は、どこかで交換になります。
アミノ酸系
成分名の例
ラウロイルアスパラギン酸Na/ココイルグルタミン酸Na/ココイルグルタミン酸TEA/ラウロイルメチルアラニンNa/ココイルグリシンNa
見分け方
名前の中に「アスパラギン酸」「グルタミン酸」「アラニン」「グリシン」が入っています。全部アミノ酸の名前です。
皮膚や被毛のタンパク質と近い構造をしているため、刺激が少ないとされています。低刺激をうたう犬用シャンプーの多くは、これが主役です。
欠点は、洗浄力が控えめなこと。皮脂が多い子や、外遊びで汚れた子だと、洗い足りないと感じることがあります。泡立ちもやや弱めなので、後述のベタイン系と組み合わせている製品が多いです。
向いている子:皮膚がデリケートな子、乾燥しやすい子、フケが出やすい子
ベタイン系
成分名の例
コカミドプロピルベタイン/ラウラミドプロピルベタイン/ラウリルヒドロキシスルタイン
見分け方
名前の末尾に「ベタイン」が付いています。分かりやすいです。
刺激が少なく、保湿性もあります。人間の赤ちゃん用シャンプーにも使われる種類です。
特徴は泡立ちと泡切れの良さ。すすぎが早く終わるので、シャワーが苦手な子には地味にありがたい性質です。
ただし単体では洗浄力が足りないため、アミノ酸系と一緒に配合されているのが一般的です。成分表で「アミノ酸系+ベタイン系」という並びをよく見かけるのは、そのためです。
向いている子:皮膚が敏感な子、子犬、シャワーやすすぎを嫌がる子
タウリン系
成分名の例
ココイルメチルタウリンNa/ラウロイルメチルタウリンNa
見分け方
名前に「タウリン」が入っています。これも見つけやすいです。
低刺激でありながら、アミノ酸系より少ししっかり洗えるタイプです。必要な皮脂を残しつつ、汚れは落とす。バランス型と言われます。
泡切れが良いのも特徴です。
アミノ酸系では物足りないけれど、洗浄力の強いものは避けたい。そういう位置づけの成分です。
向いている子:皮膚は弱くないが、脂っぽさが気になる子
スルホコハク酸系
成分名の例
スルホコハク酸ラウレス2Na/スルホコハク酸ラウリル2Na
見分け方
「スルホコハク酸」という表記がそのまま入っています。
洗浄力が高く、泡立ちも良いタイプです。皮脂が多い子、においが気になる子、しっかり汚れを落としたい場面に向いています。
向いている子:皮脂の分泌が多い子、屋外でよく汚れる子
向いていない子:皮膚にトラブルを抱えている子
硫酸系(高級アルコール系)
成分名の例
ラウリル硫酸Na/ラウレス硫酸Na
見分け方
「硫酸」の2文字を探してください。
洗浄力がとても強く、泡立ちも抜群です。そして安価なので、価格帯の低い製品によく使われています。
ただ、脱脂力が強すぎます。必要な皮脂まで持っていってしまうため、皮膚の薄い犬には負担になりやすい種類です。
前回の記事で「避けている成分」として挙げたのが、これです。
ひとつだけ補足しておきます。この種類は「石油系界面活性剤」と呼ばれることがありますが、その呼び方はあまり正確ではありません。現在はヤシ油など植物から作られていることが多く、原料の由来で刺激の強さが決まるわけではないからです。
大事なのは、原料が何かではなく、脱脂力が強すぎないかどうかです。
2種類以上入っているとき、どう読むか
実際の製品は、1種類だけで作られていることは少なく、たいてい複数を組み合わせています。
そのときの読み方は単純です。
水の次に来ているものが、そのシャンプーの性格を決めています。
たとえば、アミノ酸系が2番目、ベタイン系が3番目なら、低刺激をベースにして泡立ちを補った処方だと分かります。
逆に、硫酸系が2番目に来ていて、アミノ酸系がずっと下のほうにあるなら──それは「アミノ酸配合」と書いてあっても、洗浄の主役は硫酸系です。
ここが、成分表を読めるかどうかで一番差が出るところだと思います。
パッケージの表側は、いくらでも印象を作れます。でも成分表の並び順は、作った人が決めた配合そのものです。
悩み別・どれを選べばいいか
| その子の状態 | 選ぶ洗浄成分 |
|---|---|
| フケが出やすい、赤みがある | アミノ酸系 |
| 皮膚がとても敏感、子犬 | アミノ酸系+ベタイン系 |
| シャワーやすすぎを嫌がる | ベタイン系・タウリン系(泡切れ重視) |
| 脂っぽい、においが気になる | タウリン系 |
| 外でよく汚れる、皮脂が多い | スルホコハク酸系 |
迷ったら、アミノ酸系を選んでおけば大きく外しません。
➡ この表で「うちの子はアミノ酸系だな」と思った方へ。実際にアミノ酸系が主役になっている商品をまとめました
洗浄力が足りないと感じたら
優しいシャンプーを使うと、汚れ落ちが物足りないことがあります。
そういうときは、強いシャンプーに変えるより、2度洗いで調整するほうが皮膚には優しく済みます。
やり方は単純です。
1回目は軽く泡立てて、汚れを浮かせたらすぐ流す。そして2回目でしっかり洗う。
1回目で表面のほこりや汚れ、余分な皮脂が落ちているので、2回目は泡立ちも良くなります。
ただ、2度洗いが必要かどうかはその子によります。毎回やる必要はありません。汚れているときだけで大丈夫です。
実際の成分表で見てみると
例として、私が使っているシャンプーの成分表を挙げます。
水、ラウロイルアスパラギン酸Na、ココイルグルタミン酸TEA、ココアミンオキシド、ユズ果実エキス、ラベンダー油……
2番目と3番目に、アミノ酸系が2つ並んでいます。この時点で「低刺激寄りの処方だな」と分かります。
もうひとつ。
水、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウラミドプロピルベタイン、酒粕エキス、トウミツ……
こちらはアミノ酸系+ベタイン系。低刺激をベースに、泡立ちと泡切れを補った処方です。
慣れてくると、これくらいは数秒で判断できるようになります。
➡ この読み方で選んだシャンプーは、こちらの記事で紹介しています
おわりに
成分の名前を全部覚える必要はありません。
覚えるのは、この4つだけで十分です。
- アミノ酸の名前(アスパラギン酸・グルタミン酸・アラニン・グリシン)が入っている → 優しい
- ベタインで終わる → 優しい・泡切れが良い
- タウリンが入っている → 中間
- 硫酸の2文字がある → 洗浄力が強い
あとは、それが上から何番目にあるかを見るだけです。
次にシャンプーを買うとき、ボトルを裏返してみてください。今までただの文字列だったものが、少しだけ意味を持って見えるはずです。


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